Blenderで3Dモデリングをする際、球体を表現するために「UV球」と「ICO球」という2種類の基本的なメッシュが提供されています。しかし、それぞれどのような特徴があり、どのように使い分けるべきかを知っていますか?今回はこれらの球体プリミティブの違いを詳しく紹介し、それぞれのメリット・デメリットや具体的な利用シーンについても解説します。
1. UV球 (UV Sphere) とは?
BlenderにおけるUV球は、経緯線のような形状で構成される球体のプリミティブです。これは地球儀や天球を表現する際に特に便利で、長さ方向に「縦線(経線)」と「横線(緯線)」に沿った格子状に頂点が配置されています。UV球は基本的に四角形(クアッド)と三角形の面で構成されています。横の緯度ラインに沿っては四角形の面が使われていますが、上下の極点付近では構造上四角形に収束できず、三角形の面が現れます。このため、UV球はほとんどが四角形の面で覆われていますが、極部分だけ三角形が含まれた形状となっています。
特徴
- 縦横の分割によって形作られる(四角形面と三角形面で構成)
- 上端と下端の極点(ポール)に頂点が集中する
- 滑らかな表面を簡単に得られる
メリット
- テクスチャマッピングが簡単:UV展開がしやすく、地図や天球テクスチャをそのまま貼り付けやすい。
- ポリゴン数の調整が自由:縦方向と横方向の分割数を調整することで、ポリゴン数を容易にコントロール可能。
デメリット
- 極点の問題:上端と下端に頂点が集中してしまい、極端に細かくなるため、レンダリング時にノイズが発生しやすい。
- 均一な分布ではない:球体全体で頂点や面の分布が均等でないため、特定の用途では使いにくいことがある。
利用シーン
- 地球儀や天球、惑星モデルの作成
- キャラクターの目玉のモデル作成
- 大規模な球体を使うシーン
2. ICO球 (Icosphere) とは?
ICO球は、正二十面体をベースに細分化された球体です。正二十面体は20個の三角形面で構成されており、その各面を分割して球体に近い形を作り出します。この三角形の均一な分布により、均等に頂点が配置されているのが特徴です。
特徴
- 正二十面体を基にした三角形の均一分布(正三角形面で構成)
- 細分化レベルの調整により滑らかさが変えられる
メリット
- 均等なトポロジー:表面全体で均一な頂点や面の配置が得られ、レンダリングやシミュレーションで安定感がある。
- 極点がない:UV球のように頂点が一箇所に集中する問題がなく、滑らかで一貫した形状が得られる。
デメリット
- UV展開が難しい:テクスチャマッピングがUV球に比べて複雑であり、面が三角形で構成されているため、地図や平面テクスチャを貼り付けるのが難しい。
- 比較的多くのポリゴン数が必要:同等の滑らかさを得るためには、UV球に比べて細分化のレベルを上げる必要がある。
利用シーン
- 均一な面の分布が必要なモデリング(シミュレーションや物理演算向け)
- ゲーム開発における球形のオブジェクト(天球やオブジェクトのプロクシモデル)
- 粒子シミュレーションやフラクタルシミュレーションのベースモデル
3. UV球とICO球の使い分け方
それでは、どのようにUV球とICO球を使い分けるべきでしょうか?一般的に、テクスチャマッピングが必要な球体や、極端に細分化が必要ない場合はUV球が適しています。一方で、均等な面分布が求められる場合や、シミュレーション用途、極点の問題を避けたい場合はICO球が最適です。
まとめ
- UV球: テクスチャマッピングが必要な場合や、簡単な球体を作りたい時に適している。
- ICO球: 均等な面分布が必要な場合や、物理演算やシミュレーションを伴うシーンに適している。
Blenderで球体を扱う際には、この2種類のプリミティブを使い分けて、効率的かつ効果的なモデリングを行ってください。
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