Blender EEVEE Nextとは?その進化と新機能について解説
Blenderのレンダリングエンジン、EEVEE Nextは、リアルタイムレンダリングの新しいステージを開くアップデートとして登場しました。EEVEE Nextでは、視覚品質が向上し、特にライティングや影の表現が飛躍的に強化されています。ここでは、EEVEE Nextの主な進化と新機能について詳しく解説します。
1. スクリーンスペースグローバルイルミネーション(SSGI)
EEVEE Nextの最も目立つ進化として、スクリーンスペースグローバルイルミネーション(SSGI)が追加されました。これにより、反射や間接光の表現が改善され、シーン全体によりリアルなライティング効果が加わります。SSGIを有効にすると、物体の間接的な光の反射が再現され、特にインテリアやポートレートにおいて自然な雰囲気を作り出すことが可能になります。
2. 仮想シャドウマップの導入
EEVEE Nextでは、シャドウマップが改良され、Virtual Shadow Maps(仮想シャドウマップ)が採用されています。これにより影の精度が向上し、従来のEEVEEで必要だったコンタクトシャドウの設定を省略してもリアルな影を再現できます。影の精度を高めたい場合は、サンプル数を増やす設定も可能です。また、影をやわらかくしたり、リアルタイムで影の揺らぎを加えることも可能です。
3. リアルなボリューム描写と解像度の向上
EEVEE Nextでは、ボリューム効果のリアリティが増し、特に煙や霧の表現が強化されています。ボリュームの解像度を1ピクセルまで低く設定することができ、パフォーマンスの最適化が図られています。これにより、表面に沿った精密なライティングが可能となり、リアルな雰囲気を持つエフェクトが作成可能です。
4. HDRIライトの改良と制限解除
EEVEE Nextでは、HDRI環境におけるライトの処理が改良され、より自然で強力な影の表現が可能になりました。これにより、シーン内の明るい部分が自然な影を生成し、写真のような質感を実現します。また、ライトの個数制限も撤廃され、複数のライトを用いた複雑なシーンにも対応できるようになりました。
5. ノイズ削減とパフォーマンスの最適化
EEVEE Nextでは、リアルタイムレンダリングにおけるノイズを減らし、パフォーマンスを向上させるための最適化が行われています。高負荷のシーンでも動作がスムーズで、特にアニメーションを再生しながらリアルタイムでのレンダリングを行う際にその効果が実感できます。
6. 新しいディスプレイスメント
EEVEE Nextでは、ディスプレイスメントがサポートされ、従来のバンプマッピングよりも詳細な凹凸表現が可能になりました。これにより、リアルな岩肌や皮膚の質感を、より少ないポリゴンで表現することができます。
EEVEE Nextのまとめ
EEVEE Nextは、従来のリアルタイムレンダリングを次のレベルへと引き上げ、クオリティと効率を兼ね備えたアップデートです。プロの3Dアーティストだけでなく、初心者にも扱いやすい設計が施されており、Blenderユーザー全体にとって大きな利便性を提供しています。