Blender 4.3の注目機能と改善点

現在ベータ版として公開されている Blender 4.3は、正式リリースが 2024年11月12日に予定されています。今回のバージョンでは、さまざまな機能が強化され、3D制作における効率と品質が向上しています。以下に主なアップデートをご紹介します。

1. EEVEEとCyclesの連携強化

Blender 4.3ではEEVEEレンダリングエンジンが改良され、マルチパスコンポジティングが可能になりました。これにより、ポストプロダクションでの詳細な編集がより柔軟に行えるようになり、リアルなビジュアル表現が可能です。

2. UIの改善

ユーザーインターフェイスも改良され、画像、動画、フォントのプレビューがツールチップ内に表示されるようになりました。また、実験的にVulkan(WindowsおよびLinux対応)が追加され、特定のGPUでパフォーマンスの向上が期待されますが、現段階ではOpenGLバックエンドと比べ速度面での最適化が必要です。

3. スカルプトのパフォーマンス向上

スカルプトモードでは、新たなブラシアセットシェルフが導入され、より直感的にブラシの選択や管理が可能になりました。また、高解像度メッシュでのスカルプトが最大8倍高速化し、複雑なモデルでもスムーズな操作が可能です。

4. 新しいMetallic BSDFノード

Cycles用のMetallic BSDFノードが追加され、金属素材のリアルな表現が簡単に行えるようになりました。このノードには TintConductor FresnelとConductor Fresnelの2種類の設定があり、より精密なマテリアル作成をサポートします。EEVEEはリアルタイム性能を優先するため、Conductor FresnelタイプやMetallic BSDFの複雑な金属表現を正確に再現する計算が難しく、これらの機能は物理ベースのパストレーシングを用いるCyclesでのみサポートされています。

5. Geometry Nodesの機能拡張

Geometry Nodesにはインタラクティブなギズモが追加され、3Dビューポート内での直接操作が可能となりました。これにより、ノードベースのワークフローがさらに強化され、効率的なモデリング作業が実現します。

6. SLIM アルゴリズムを活用した UV 編集の向上

Blender 4.3 では、UV編集の新しい「最小ストレッチモード」に SLIM(Seamless Least-squares Image Mapping)アルゴリズムが採用されています。このアルゴリズムは、3Dモデルの表面にテクスチャを自然にマッピングする際に歪みを最小限に抑え、シームレスで高精度なテクスチャ配置を可能にします。

  • エネルギー最小化: UVマップのストレッチや圧縮による歪みエネルギーを最小限に抑え、特に曲面や細部のテクスチャが自然にフィットするよう展開します。
  • 自動シームレス化: 複雑なモデルでもテクスチャのつなぎ目やギャップを軽減し、シームレスな見た目を実現します。
  • 低ディストーション展開: テクスチャの歪みを抑えながら展開するため、細かいディテールも維持され、リアリスティックな質感表現が可能です。

SLIMアルゴリズムによるこの機能強化で、UV展開がさらに簡単かつ正確になり、リアルなテクスチャリングが可能になりました。

Blender 4.3のこれらの新機能と改善により、3D制作の効率とクオリティが向上し、より洗練された作品作りが可能になります。Blenderの最新バージョンをぜひお試しください。

Blender 4.3のベータ版は現在ダウンロード可能で、Windows、macOS、Linuxに対応しています。正式リリースは2024年11月12日を予定しています。

投稿者 DO